いちご農家 牟田口 徳子さん

Youは何しに上関へ?

 主人の定年を機に、ゆっくりセカンドライフを過ごせる場所を探していたんですよね。最初は地元の福岡や九州で物件を探していたんですけど、なかなか“これだ”というものが見つからなくて。それで、お隣の山口県でも探してみようと思って、県内をあちこち巡っていたんです。
 そんな中で“上関に物件がある”という情報を聞いて、正直それまで名前すら知らなかったんですけど、試しに来てみたんです。そしたら、海と山に囲まれた景色がすごくきれいで。その日は夕方に着いたんですけど、夕日がもう本当に美しくて……その瞬間に『あ、ここにしよう』って即決しちゃったんですよね。主人はびっくりしてましたけど(笑)。

現在はどんなお仕事を
されているんでしょうか。

 いちご農家をやっています。実は、私も主人も農業はまったくの素人で、ほんとにゼロからのスタートだったんですよね。でも今ではハウスが3棟あって、全部で6,300株くらい植わっているんです。毎日、夜中の2時に起きて“朝摘み”をするんですけど、だいたい1日2,000粒くらいを出荷しています。1株で3〜4回転くらい収穫できるんですよ。春から夏は育苗、9〜10月に定植。受粉は人力だと大変なので、ミツバチに手伝ってもらっています。
 ようやく軌道に乗ってきて、今では道の駅やJAの共販でも販売できるようになりました。いちごジャムの加工品も出せるようになって。ここまで来るのに苦労も多かったんですけど、行政(農林係)、JAの方々に本当に支えていただきました。

実際に暮らしてみて、
どんな魅力を感じていますか。

 まず、ご近所の方が本当に優しいんですよね。主人が先に移住したんですけど、周りの方がいろいろ気にかけてくださって。気兼ねなく話せるし、距離感が近いのがすごく心地いいんです。それから、いちごを販売していると『美味しかったよ』『また買うね』って声をかけてもらえるんです。そういうファンの方ができたのも嬉しくて。
 生活面では、交通の便が良くないというのは確かにあるんですけど……でも“何もない”のが逆に魅力というか。何をするにも自分で考えて動かないといけないんですけど、それが都会で暮らしていた私たちにはすごく新鮮で。“心が豊かになる”ってこういうことなんだなって感じています。

これから挑戦したいことを
教えてください。

 自分たちにできる形で、地域の活性化に関わっていきたいんですよね。自分たちのいちごを活かしたり、周りで野菜やミカンを育てている方たちと一緒に農産品を持ち寄って、直売所みたいなものが作れたらいいなって。この地区も、この地区の人たちも本当に好きなので、みんなで一緒に何かできたら嬉しいなと思っています。

最後に、移住を考えている方へ
ひと言お願いします。

 まずは気楽な気持ちで来てみるのが一番だと思います。実際に訪れて、触れて、感じてみるのが大事なんですよね。ここは何かを始めるにはすごく適した場所だと思います。挑戦するには本当にいいところです。都会はどうしても競争が激しいですから。
 私たちは農業を始めて、いちごを販売することで、たくさんの人と繋がることができました。もし福岡に残っていたら、たぶんここまでできなかったと思うんです。声をかけてもらえることが本当に幸せで……移住してよかったなって心から思っています。